教員一覧
哲学分野
井川義次
中国近代思想史・東西思想交流史
中国哲学を研究対象としています。他方、16~19世紀の東西思想の交流の実態についても研究しています。帰化人・シルクロード等々、東西南北の思想交流に憧れをいだき、『史記』『水滸伝』『三国志』、儒教・道教ひいては仏教などアジアの知見、西欧世界の鋭利な論理に関心を持ち、歴史上両者が、交差した史実が無かったか知りたくなったのが今の研究の出発点です。
著作・論文
単著
『宋学の西遷ー近代啓蒙への道』(人文書院、2009年)
共著
『世界哲学史』別巻(筑摩書房、2020年)
堀池信夫総編集、石川文康、井川義次編『知のユーラシア』シリーズ、第一巻(明治書院、2013年)
井川義次他編『知のユーラシア』(明治書院、2012年)
▶️ https://trios.tsukuba.ac.jp/researcher/0000000046
津崎良典
西洋近代哲学(フランス哲学)
西洋近代哲学(とりわけフランス語圏のもの)が専門。ここ数年は、モンテーニュならびに同時代人における古代ストア主義の受容・修正・活用、つまり新ストア主義の生成と展開の研究に傾注。
著作・論文
単著
『デカルト 魂の訓練』(扶桑社、2020年)
『デカルトの憂鬱』(扶桑社、2018年)
共著
『フランス文学の楽しみかた』(ミネルヴァ書房、2021年)
『世界哲学史』別巻(筑摩書房、2020年)
『よくわかる哲学・思想』(ミネルヴァ書房、2019年)
Curiosity and the Passions of Knowledge from Montaigne to Hobbes, Rome :Bardi Edizioni,2018
Normes et marginalités à l’épreuve,Strasbourg : Presses universitaires de Strasbourg, 2010
訳書
カンブシュネル『デカルトはそんなこと言ってない)(晶文社、2021年)
パガニーニ『懐疑主義と信仰ーーボダンからヒュームまで』(知泉書館、2020年)
ネグリ『デカルト・ポリティコ』(青土社、2019年)
ドヴィレール『デカルト』(白水社、2018年)
ライプニッツ『ライプニッツ著作集』第二期第三巻(工作舎、2018年)
ライプニッツ『ライプニッツ著作集』第二期第二巻(工作舎、2016年)
デカルト『デカルト全書簡集』第四巻(知泉書館、2016年)
ブロック『唯物論』(白水社、2015年)
デリダ『哲学への権利2』(みすず書房、2015年) Philosophie japonaise : le néant, le monde et le corps, Paris : J. Vrin, 2015
西村雄太
中世哲学
西洋中世思想、とりわけ13世紀後半から14世紀前半のスコラ学で展開された存在論的・形而上学的議論について研究しています。哲学的思惟の始原でもあり終局でもある「人間とは何か」という問いに真正面から立ち向かうためには、スコラ学者らが「存在そのもの」、「神」、「真理」などと呼んだ、自らの存在と自らの一切の認識の根源であるところのものについて探究することが不可欠であると思っております。
著作・論文
「神の内なる一匹のハエは実在する最高位の天使より
高貴である : エックハルトにおける創造が与えるも
のとしての存在について」(『中世思想研究』第64
号,2022年)
「フライベルクのディートリヒ『存在者と本質につい
て』(原典翻訳)」(2021–2023年)
「フライベルクのディートリヒの神化思想―「神の像」としての人間知性の観点から」(『テ
オーシス―東方・西方教会における人間神化思想の伝統』教友社,pp.242-268,2018年)
橋本康二
分析哲学
真理とは何かという問題と、必然的真理はどのようにして成立しているのかという問題を研究しています。
著作・論文
「名辞論理とヴェン図:オイラーの場合」(筑波大学『哲学・思想論集』第46号、2021年)
「空間的図形における真理と虚偽」(筑波大学『哲学・思想論集』第45号、2020年)
「数学的図形における真理と虚偽」(筑波大学『哲学・思想論集』第44号、2019年)
檜垣良成
西洋近代哲学・ドイツ哲学
研究としては、カントを中心にここに至るまでの西洋哲学史について検討しています。 哲学としては、現代においてはたいへん困難になった「真理の探求」としての〈対話〉について、理解を深め、実際に実践することに傾注しています。現代社会の一番の問題は、西洋的な意味での「真理」に対するリアリティの喪失だと表現できると思っています。
著書・論文
『カント理論哲学形成の研究 「実在性」概念を中心として』(溪水社、2009年『理性への問い 現代カント研究10』(晃洋書房、2007年)
「動機論としてのカント倫理学」(『倫理学年報』第61集、2012年)
「綜合的判断と実在性 カントによる分析的/綜合的の区別の成立」(『思想』1135号)
「対話と真理 教育とモラルの復興のために」(筑波大学『哲学・思想論集』第40号、2015年)
横山幹子
分析哲学
H. パトナム等の哲学者の考えを参考に、実在論や懐疑論について検討してきました。そして、それらの問題との関係から、近年は「知覚の問題」にも取り組んでいます。また、哲学と同様に、「知識」を問題としてきた「図書館情報学」と哲学的な存在論や認識論との関係についても興味を持ち、それについても研究しています。
著書・論文
「図書館情報学における存在論の対立:Gnoliの存在論的複数主義とHjørlandの存在論的一元論の比較」.Library and Information Science,2020, p. 1-21.
Yokoyama Mikiko:Rational Acceptability of Truth. Annals, vol.29, 2020, p. 27-39. a translation of a following paper originally written in Japanese:「合理的受容可能性と真理」(『科学基礎論研究』第35巻1号、2007年)
「パトナムの寛大な自然主義:「自然主義」に着目して」(『図書館情報メディア研究』第16巻2号、2019年)
「パトナムの選言説批判とリベラルな自然主義」(『図書館情報メディア研究』第15巻2号、2018年)
「真正な知覚的経験と神経活動」(『図書館情報メディア研究』第14号2巻、2017年)
「知識はどこにあるのか」(逸村裕・田窪直規・原田隆史編『図書館情報学を学ぶ人のために』世界思想社 2017年)
倫理学分野
五十嵐沙千子
現代思想
現代思想(特にハイデガーとハーバーマス)が専門。これを中心として次の2方向へ広がる。
まず一つは、ハイデガーから出発して、レヴィナスやシェリングの自由論の研究、さらに哲学における幸福論の研究。
もう一つは、ハーバーマスを中心とした対話学。合意論、正義論、オープン・ダイアローグ(精神医療)、学校の民主化、組織論研究。
一方、哲学の実践としては「哲学カフェ」を主宰し、岩手から鹿児島まで日本各地で哲学カフェの開催を続けている。
著作・論文
単著
『この明るい場所–ポストモダンにおける公共性の問題』(ひつじ書房、2018年)
“Carnival of Dialogue: Open Dialogue, Dialogic Classroom, Dialogic Organizational Development in Companies”(筑波大学『哲学・思想論叢』第39号、2021年)
「ハイデガーのシェリング『自由論』解釈に対する批判をめぐって」(筑波大学『哲学・思想論集』第46号、2021年)
「シェリングとハイデガーの自由」(筑波大学『哲学・思想論集』第45号、2020年)
「哲学における幸福論 ーヒルティ、アラン、ラッセルー」(筑波大学『倫理学』第36号、2020年)
「対話による共同体 – ティール組織の学校」(筑波大学『倫理学』第35号、2019年)
「バフチンの対話 / 対話としての詩学 – オープンダイアローグ(Open Dialog)の背景にあるもの」(筑波大学『哲学・思想論集』第44号、2019年)
「ハイデガーのニーチェ – ハイデガー『ニーチェの形而上学』をめぐってー」(筑波大学『倫理学』第36号、2018)
「世界からの下降 – ハイデガーにおける共同性」(筑波大学『哲学・思想論集』第43号、2018)
「対話である越境—オープンダイアローグ、討議倫理、あるいは哲学カフェの可能性をめぐって」(筑波大学『哲学・思想論集』第42号、 2017)
「現成する内蔵秩序—デヴィッド・ボームにおける対話的/物理学的アプローチ」
筑波大学『倫理学』第33号、2017年)
「中等・高等教育における対話型授業のあり方をめぐって—ソクラテス・メソッド(「哲学カフェ」)を用いた授業の可能性」(筑波大学『哲学・思想論集』第41号、2016)
「反復と伝承–『存在と時間』第74節をめぐって」(筑波大学『倫理学』第32号、2016)
「コーチングにおける教師と生徒の関係—本当に楽しい授業を共に生きていくために」(教育と医学、2015)
「O.S.ウォーコップにおける「主観」の復権」(筑波大学『倫理学31号』、2015)
「他の主体—レヴィナスとハイデガーの自由」(筑波大学『哲学・思想論集』第40号、2015)
共著
『オープンダイアローグの哲学』(東京大学出版会、2021年刊行予定)
『新科目「公共」を考える』(ひつじ書房、2021年刊行予定)
『歴史総合と世界史探究・日本史探究を教える–歴史教育「再」入門』(清水書院、2020年)
太田紘史
心の哲学・倫理学
人間の精神や価値にまつわる哲学的問題にとりくんでいます。私たちが暗黙に抱えている人間観や価値観はどのようなものか、それらがどのような矛盾や欠陥を含んでいるのか、それでも手放せない部分があるとしたらそれはどういうものか、探求していきたいと思います。
著作・論文
“The Psychological Process Underlying Attitudes Toward Human-Animal Chimeric Brain Research: An Empirical Investigation”, Neuroethics, 17(15), 2024.
“Phylogenetic Distribution and Trajectories of Visual Consciousness: Examining Feinberg and Mallatt’s Neurobiological Naturalism”, Journal for General Philosophy of Science, 53: 459–476, 2022.
“Frankfurt-Style Cases and Moral Responsibility: A Methodological Reflection”, International Journal of Philosophical Studies, 29(3): 295-319, 2021.
“Neuroscientific Threat to Free Will as Non-veridicality of Agentive Experience”, Journal of Mind and Behavior, 41(2): 109-130, 2020.
千葉建
西洋近現代倫理思想史・ドイツ啓蒙思想研究
著作・論文
「内的義務の考古学序説――カントの義務論の一源泉としてのヴォルフ学派の義務論」(筑波大学『倫理学』第36号、2020年)
「カント倫理学において意志の弱さはいかにして可能か」(筑波大学『哲学・思想論叢』第36号、2018年)
「カントの徳倫理学と感情の問題」(筑波大学『哲学・思想論叢』第33号、2015年)
常瀟琳
日本近代思想史
日本思想史を専門にしています。伝統と現在の関係や、文明の特殊性と普遍性の関係などの問題に興味を持っており、西洋思想との遭遇によって、旧来の人間観・秩序観・世界認識が大きな挑戦を受けた19世紀の江戸・明治時代の人々の思想を研究しています。
著作・論文
『「道理」と「風俗」−−水戸学と文明論の十九世紀』(東京大学法学政治学研究科)、2022年、247頁。(東京大学大学院法学政治学研究科博士(法学)特別優秀賞受賞)
「「理」と「風俗」の間――徳川末期における中村正直の思想展開――」『日本思想史学』55号、100〜117頁、2023年9月。
宗教学分野
木村 武史
宗教学
宗教学、神話学、先住民族宗教研究、アメリカ宗教研究、サステイナビリティ・技術・宗教、宗教・ロボット・AI
著作・論文
著書・論文等の研究業績については以下をご覧ください。
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志田泰盛
インド哲学・インド古典学
“Hypothesis-Generating Logic in Udayana’s Rational Theology,” Journal of Indian Philosophy 39, pp.503-520, 2011年6月.
共著
“Udayana’s theory of extrinsic validity in his theistic monograph,” History of Indian Philosophy, pp.214-222, Routledge, 2018.
土井裕人
宗教学・人文情報学
西洋古代の宗教思想の研究を基盤に、人文情報学(デジタル・ヒューマニティーズ)や、哲学・思想からのダイバーシティの基礎づけについて研究しています。
著作・論文
「プロクロスにおける「媒介するモノ」としての魂の乗り物」(津曲真一・細田あや子編『媒介物の宗教史』下巻、リトン、2020年)
「日本における新プラトン主義受容の創始期をめぐって : 哲学と宗教の狭間で」(筑波大学『哲学・思想論集』第45号、2020年)
「視覚化と可触化による宗教学の教材作成とその応用に向けて」(『人文科学とコンピュータシンポジウム論文集』、2017年)
平野貴大
イスラーム思想史、シーア派思想
イスラーム思想史、特にシーア派思想を専門にしています。シーア派の中の最大宗派である十二イマーム派の教義形成やその時代のシーア派系諸派との教義上の境界線を考察してきました。近年は聖典解釈書や神学書と法学書の記述をもとに、初期から現代に至るまでの十二イマーム派の自他認識の解明に取り組んでいます。
著作・論文
著書・論文等の研究業績については以下をご覧ください。
▶️筑波大学TRIOS
保呂篤彦
宗教哲学
・宗教と倫理をめぐる問題を中心にしたカント研究
・宗教多元主義に関する研究
・日本哲学と日本のキリスト教神学に関する研究
著作・論文
『カント道徳哲学研究序説――自由と道徳性――』(晃洋書房)
「「宗教多元主義」を越えて新しい宗教哲学へ」(南山宗教文化研究所(編)『宗教と宗教の〈あいだ〉』風媒社、所収)
「人間の尊厳をめぐって――バイオエシックスとカント――」(『岐阜聖徳学園大学紀要〈教育学部編〉』第42集、所収)
「現代の要請としての宗教多元主義」(間瀬啓允(編)『宗教多元主義を学ぶ人のために』世界思想社、所収)
「根本悪の克服──個人における、また人類における──」(日本カント協会編『日本カント研究9』理想社、所収)
「いのちの尊さをめぐる一考察──宗教的生命観の現代的意義──」(『岐阜聖徳学園大学仏教文化研究所紀要』第12号、所収)
「カントにおける宗教と幸福」(『宗教研究』〈日本宗教学会〉380号、所収)
訳書
ウィルフレッド・キャントウェル・スミス『宗教の意味と終焉』(共訳、国書刊行会、2021年3月)
横山 剛
仏教学
インド仏教の研究をしています。数ある部派の中でとりわけ大きな勢力を誇った説一切有部の思想を中心に、その説が仏教の教理体系の構築にいかに寄与したのか、後に台頭した大乗仏教徒たちが有部の教理をどのように理解していたのか、有部説が後代にどのように伝えられたのか、といった点を研究しています。古の人々の言葉に一緒に耳を傾けてみませんか。私たちが日ごろ確かであると考えていることは必ずしもそうではないかもしれません。もし、何かを知りたいなら、深く考えたいなら、これまでと違う見方をしたいなら、大切なのはきっと〈素直さ〉ではないでしょうか。
著作・論文
著書・論文等の研究業績については以下をご覧ください。
▶筑波大学TRIOS